アメリカの同時多発テロ事件における情報操作をどう教えるか。山本五十六の有名な率先垂範のすすめ。
日本教育再考
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米国テロの教育方法

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       【子供達に教えたいこと】〜日本教育再考
…………………………………………………………………………2000/11/04号
▼前号の【教育名言】

 毎号の最後に【教育名言】を掲載していきますが、こういう名言というの
 は各自でよく咀嚼(味わう)しないと意味がありません。そこで前号の、

 やってみせ、言って聞かせて、させてみて、誉めてやらねば、人は動かじ。
                             山本五十六

 について想う所を。これは組織論を語る時に必ず引用されるフレーズとし
 て有名ですね。経営者はもちろんのこと、子供のいる方、生徒を率いる教
 師にも当てはまることです・・・なんて騙されてませんか?

 この語は率先垂範(先に立って模範を示すこと)が大事であるという教え
 なわけですが、注意して頂きたいのは「褒めてやれば、人は動くもの也」
 とは言ってない点なのです。              ^^^^^^^^^^

 山本五十六元帥といえば、太平洋戦争時に真珠湾攻撃を立案し、連合艦隊
 の司令官だった名大将として知られています。功罪については議論百出で
 しょうが、「人」に対する洞察力が人一倍あったことは疑う余地がありま
 せん。その彼が「人は動くもの也」ではなく「人は動かじ」とした真意は
 どこにあるのでしょうか。その答えは他の名大将が暗示してくれています。

 これまた評価が別れる経営の神様とまで言われた松下幸之助。彼の語録の
 中で「会社が100人までは率先垂範、1000人超えたら社員にお願い
 する、10000人を超えたら社員に向かって拝め」という趣旨のものが
 あります。この人数については業種や組織によって違うものですから、
 重要ではありません。

 ポイントは「率先垂範」だけで人が動くとは限らないという事です。自ら
 前線に立って泥をかぶらなければ少なくとも人は言うことを聞いてくれま
 せんが、範を示したとしても動かない可能性のある事を山本五十六は含み
 として残しているとも取れるわけです。

 我が子を、生徒を、部下を育てるとき、こちらの勝手な期待というものを
 押しつけると「なぜわかってくれないんだ!率先垂範しているのに!」と
 いう事になりかねません。これはストレスになりますし、誰もストレスを
 抱えて人に当たっているような人間の言うことは聞いてくれませんから、
 結果としては目的の逆のものが出てくるわけです。

 たまには力を抜いて、いい意味で「期待しない」ということも大切なのか
 もしれませんね。

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▼子供達に教えたいこと

・【人様に迷惑をかけちゃいけません】─はびこる間違った教育ポリシー
 米国テロ事件関連記事が長くなりましたので、次号で掲載する事にします。
 上記の小言を言う親や教師が多くなっているように見受けられるのですが、
 決定的に間違っています。何がどう間違っているのかについての記事です。

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▼時事/社会問題

・米国テロ事件の「正しい」教え方

 筆者は事件当日、米国にいたので色々とお伝えしたいこともあるのですが、
 各所を見ていますとこれを授業の題材に使おうという動きもあるようです
 ので、手遅れにならない内に「どう教えればいいか」という提案をさせて
 頂きます。教師までもがメディアに踊らされて子供に間違った事を教えて
 は取り返しがつきませんので。

 先月、9月11日にWTCがテロ攻撃にさらされました。出張で某授賞式
 に出席していた大学時代からの友人が隣のホテルに滞在しており、荷物を
 全て失ったものの、無事帰国しました。隣のブロックに住んでいた小学校
 時代からの友人は当然住居を失い、命がけで走り、タグボートで脱出した
 そうです。ともに日本人です。犯人の意図した標的とは全く関係が無いで
 しょう。でも命を失いかけた。そして、多くの人が実際に命を落とした。

 事実は現在のところ、これだけしかありません。

 みなさん、ニュースを見る中で「民衆が米国のテロを喜んでいる映像」を
 見たことがあるのではないでしょうか。子供があれを見たら「人が死んで
 るのにヒドイ。なんであの子たちは喜んでいるの?」と聞くこともあるで
 しょう。それに対する間違った説明一つで、「喜んでいる人たち」に対す
 る「怒り」などの感情が生まれ、また戦争の種を一つ蒔く事に手を貸す事
 になりかねない事にお気づきでしょうか?

 まず、あのパレスチナの民衆が喜んでいる映像ですが、当初犯人と思われ
 ていたパレスチナ人の印象を悪化させ、交戦状態に入りやすくするための
 情報操作だとも言われております。CNNの映像ソースをたどって行った
 ところ、1991年当時の画像が利用されていた事が判明したそうです。

 1991年と言えば湾岸戦争。欲しい絵を探すにはたくさんいい資料があ
 ったことでしょう。

 というこの話もまた情報操作と言われています。既に廃刊した日本のバー
 トがその昔「シュテルン誌特約」を売り物にしていましたが、そのシュテ
 ルン誌(ドイツ)によると、あの映像が9月11日に撮影されたのは確か
 だが、喜んでいる姿を披露すればお菓子をあげる、と言われて喜んだ当の
 女性のコメントも掲載している「そうだ」。筆者はドイツ語の素養はない
 ので、現在真偽を確認中ですが、返事を待っている間にも間違った教育が
 行われるリスクよりもこの記事が真実ではない事によって我々が被るリス
 クの方が低いと判断した次第です。<その後の経緯>

 さて、事件当初の映像ですらこうしたバイアス(偏向)がかかっているに
 関わらず、その後の報道の何が信用できるのでしょうか?ラディン氏はお
 そらく関与してはいるのでしょう。ただ、それがひっくり返される可能性
 はまだあるのです。世にはまだまだ様々な説があります。過去にラディン
 氏とCIAと関与があったとする事から「CIA陰謀説」。世界の石油を
 牛耳っている石油メジャー(一般的にはエクソンモービル、シェブロン・
 テキサコ、ロイヤル・ダッチ・シェル、BPアモコの四社)が石油の輸送
 ルートとしてロシアやイランにパイプラインを通すより安定的な道を模索
 した結果だとする説。アメリカ資本をコントロールしているユダヤ勢力が
 (すでにこれが陰謀説めいてますが)イスラムを駆逐するために綿密に遂
 行したとする説。ハリウッド映画「パールハーバー」ですらその布石、と。

 映画の話は冗談にせよ、ユダヤ資本の金字塔であり、世界最大の投資銀行、
 ゴールドマンサックス本社が近くにあるのに、WTCに飛行機を突入させ
 るリスクを犯したとも考え難く、私は全く陰謀説を信じているわけではあ
 りません。ただ、同様の確度でまだラディン氏犯人説も信じていません。

 この場合、信じていない、というのは、「嘘だ」と決めつけているわけで
 はなく、メディア統制をしている状況で真実が見えるわけがない、という
 意味において信じていない、ということです。実際に事件後、まっさきに
 反戦歌がアメリカで放送禁止になるなど、民主主義とは思えない現実がす
 ぐそこにはあります。

 さらに、メディア自体が信用できないものです。初めて取材を受け、出版
 されたものを見た時の驚きは今でもはっきり覚えています。情報は歪めら
 れるのです。また、メディアの人間が「〜な情報ないか」というのに対し
 て何かを教えても「それだと面白くないから〜なストーリーにあったもの
 はないか」とかえってきます。すでにストーリー先にありきの現実を「作
 り出す」作業をしているのがメディアの人間なのです。彼らも一生懸命仕
 事をしており、生活もありますから個々人を非難する気はありません。ま
 た、友人である場合は批判の矛先が鈍るという私の甘さも認識しています。
 ただ、一部のメディアにはそういう所がある、という認識は必要です。

 ちなみに、これは民間メディアだけの話ではなく、公共放送(国営放送で
 はありません)でも同様です。また、某経済紙だけは違うという幻想があ
 る方はそれも捨てて下さい。

 で、米国テロ事件の「正しい」教え方とはなんなのか、という本題に戻る
 わけです。もうおわかりでしょうが、「ありません」。正しい情報が何な
 のかわからない以上、ヘタな事は言えません。ただし、テロ事件に関連し
 て教えられる事は沢山あります。その一つは情報の受け取り方、です。

 メディアの情報というのはすでに加工されたものです。この文章も私を通
 して加工されているのですが、それをどう受け取り、どう使いこなすかと
 いう能力、つまり「情報リテラシー」「メディアリテラシー」の概念を教
 える事ができます。ビジネスの世界にいない一部の方には耳慣れない言葉
 かもしれませんが、難しいことでことではありません。

 ある日の新聞各紙の紙面やホームページの見だしを比較するだけでも、い
 かに情報が加工されているか、小学生でも気づかせる事はできるのです。
 これは子供を班に分けて、局ごとのニュースを追わせる事でも可能です。

 いずれにせよ、今判明している事実は一つのみ。それは冒頭に述べた通り、
 「多くの人が実際に命を落とした」という一点だけです。イスラム勢力が
 どうこうなどという中途半端な知識による教育だけは避けて頂きたいもの
 だと強く祈願しております。
 
 緊急でお伝えしたい事はこれだけですので、詳しくは次号に書きましょう。
 みなさん、この事件が本当に「世界に対する挑戦」だとお思いでしょうか?

 また、教育界でもよくアメリカが比較対象に出てきますが、アメリカに住
 んだ事もなかったり、中流層だけ、もしくは上流層だけとのつき合いしか
 なかったり、英語が流暢でないために米国人の本音までは聞けなかったり、
 そういう人間の意見に騙されてはいませんか?似非インテリ同僚に騙され
 ないために、次号からは「真実のアメリカ」の姿をお伝えします。

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▼目安箱

 みなさんから頂いたお便りの紹介をさせて頂きます。仮名・匿名希望の方、
 掲載不希望はそのように明記して下さいね。よろしくお願いします。

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 私は日本の教育、というより制度・組織・政治・国民性などには
 全く期待していません。
 搾取するもの(政府・報道・権威)の思惑に流されずに、
 自分の理想に基づいた選択・行動をするように心がけています。
 優れたところは取り入れ、許せないところは切り捨てる、
 目先ではなく、大局的に後のことも想定して。

 今後、私の行動指針となることを期待します。
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   Norryさん、ありがとうございました。行動指針なんて大げさなものに
   なるかどうかは分かりませんが、たたき台にして貰えれば幸いです。こ
   んな状況ですと日本に期待したくなくなる気持ちもわかります。でも、
   問題意識の高い方に見放されてしまったらさらに状況が悪化してしまい
   ます。どうか、うちの子を見捨てないようにお願いできればと・・・。

 +----------------------------------------------------------------+
 はじめまして、教職を目指しながら子育てに奮闘中の2児の母です。アメリ
 カのテロ事件が発生して以来、この世の中はどのようになってしまうのだ
 ろう、子ども達はこれからどのように生きていかなければいけないのだろ
 う、と日々考えさせられます。さまざまな視点からの、情報、意見など、
 楽しみにしています。
 +----------------------------------------------------------------+
   ゆりなりっちさん、奮闘お疲れさまです!子育てを経験された後に教職
   につくのは違う視点が持ち込めていい効果がありそうですね。順番が逆
   ですと、新たな風を吹き込めるとは限らないんですよね。テロの記事、
   いかがでしたでしょうか。お役にたっているとよいのですが。

 +----------------------------------------------------------------+
 「日本教育再考」いいですね。期待しています。
 教師をやっていて感じることですが、理屈や口先だけで、結果の伴わない
 人っていますね。口先で立派なことを言うわりに、授業やクラスがめちゃ
 くちゃだったりするんですよ。
 教師は口先の理論よりも、自分のクラスの子どもの事実で勝負だと思って
 います。そして、指導も実践も腹の底からの手応え(子どもが変わった、
 効果があった)が大事だと私は考えています。
 ですから、この「日本教育再考」で大坪様が目指しているものにすごく共
 感できます。ぜひぜひ、息切れしないように、がんばりすぎないようにし
 て、長く長く続けてください。
 +----------------------------------------------------------------+
   朝井さま、温かい励ましのお言葉、ありがとうございます。判断がつき
   かねたので勝手に仮名にして申し訳ないです。おっしゃる通りだと思い
   ます。図らずも冒頭の率先垂範の話にも関連しますね。ビジネスにもそ
   ういう輩は沢山いますが、社内には評価制度が有ります。よってただの
   理屈屋は結果を出している人間に差をつけられます。競争原理、程度の
   問題はありますが、必要なんでしょうね、教育界にも。

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▼今号のオチ

 さて、お気づきの方もいらっしゃるでしょうが、このメールマガジン自体
 が「メディア」なわけでして、そのメディアの魅力を増すために様々な趣
 向を凝らそうとしています。あえて刺激的なタイトルをつけるのも一つ。

 普通のタイトルだと目を引かないので、嘘でも目につくタイトルをつける
 というのは某スポーツ新聞が得意ですが、まさにあれです。

 極論を提示するのも一つです。人間の投票行動を示すモデルの一つとして、
 「Median Voter」というのがあります。政治家が多数の票を獲得する為に、
 唱道する政策を中間層に合わせる事で、その両極にいる人間の票までをも
 獲得できる、というのが要旨だったと思います。各党の政策が選挙時には
 横並びになる理由の一つでもありましょうが、なぜか実際の政策決定過程
 ではその政策通りにはなりません。これには今度は「Collective Action」
 という理論が当てはまります。この部分は脇道にそれるので省略しますが、
 中間の意見を掲載すると、みんな分かった気になって、考える力を奪うん
 ですね。「全員賛成」ですから。もともと思っていた事を追認するだけの
 作業になりますので、もう一人の自分と議論が起きない。そういうメディ
 アも必要ではあるんですが、魅力はないんです。

 文調が攻撃的だったり、そうじゃなかったり、様々なわけですが、本当に
 伝えたいことは「メディアリテラシー」を駆使して行間を読みとって頂け
 れば幸いです。メディアの伝えてることがほとんど嘘だ、なんてのが実は
 嘘なわけですから・・・。

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【投稿や叱咤激励は?】<kaiji@saikou.info>に遠慮なく送って下さい!
匿名希望や本誌への掲載は避けたいという方は投稿時に明記してくださいませ。
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【編集後記】分量が多くなりすぎましたね。次回から1度に載せるコーナー数
を減らそうかと。意図せず内容が読者のお便りと重なってびっくりしました。
細く長く続けていければと思います。(うみ)
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発行者:大坪 海治 <kaiji@saikou.info>
配信希望・配信解除は:<http://www.saikou.info/>
配信システム:まぐまぐ <http://www.mag2.com/> (マガジンID:78554)
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【教育名言】
行動となって現れないような思考は無用であり、時には有害でさえある。
                               土光敏夫
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